1998年~現在:ランボルギーニ・ブランドの復権とアヴェンタドール


輝かしい栄光の上に新たな伝説を築く「アヴェンタドール」

アウディによる株式買収が、ランボルギーニ史上最大の転機をもたらす。ランボルギーニの歴史は、資金不足、世界経済悪化による打撃、組織内のトラブルで彩られていた。製品のアップデートができず、同じところで足踏みをしていたのも、ランボルギーニの特徴だった。だが、ランボルギーニはその都度、厳しい状況を打開して30年以上も生き残ってきた。嵐の90年代は、すでに過去の思い出。アウディグループという頼もしい後ろ盾により、明るいビジョンを描きながらミレニアムを迎えることができた。アウディは、世界に名だたる大メーカーであり、潤沢な資金に恵まれた企業でもある。しかもその技術力は、全世界で高く評価されているのだから、財政的援助はもちろん、技術的援助も大いに期待できる。ランボルギーニでは到底不可能なボリュームメリットももたらされる。そのうえアウディには、ランボルギーニ伝統のパーソナリティに立ち入る意思はまったくなかったのである。


圧倒的存在感と不思議な訴求力に包まれ、正式発売前からオーダーが殺到した「ムルシエラゴ」

2001年、アウディとのコラボレーションの結果、ついにディアブロの後継モデル、ムルシエラゴが登場する。ムルシエラゴという名称は、歴史に名を残す闘牛から取られたことは言うまでもないだろう。さらに言えば、ムルシエラゴとは、スペイン語で「コウモリ」を意味する単語であり、圧倒的存在感と不思議な訴求力にふさわしいネーミングであった。最高出力は580hp。最高速度と加速が向上され、ランボルギーニのフラッグシップらしいマッチョな雰囲気と見事に調和していた。最終ロットのディアブロでも、その品質や仕上げは驚くべきレベルに達していたものの、ムルシエラゴはさらにその上を行っており、この事実が関係者を驚嘆させた。正式発売の前からオーダーが殺到、これ以上ないスタートを切った。


ランボルギーニが長年待ち望んだベイビーランボルギーニ、「ガヤルド」

しばらくの間、ムルシエラゴには姉妹は誕生しない。だが、その間にも魅力的なバリエーションが登場する。たとば、2003年デトロイトショーに登場したコンセプト、「バルケッタ」がそれだ。ルーフを取り去ったムルシエラゴなどという単純な話ではなく、エンジンコンパートメント・フードやCピラーに独自の処理を施した、実質的なニューモデルであった。バルケッタはそのまま市販されることはなかったが、改良型がムルシエラゴ・ロードスターとして市場デビューを果たした。同年ジュネーブショーには、ムルシエラゴを補完する第2のモデル、ガヤルドが登場。ランボルギーニが長年待ち望んだ「ベイビー」の誕生である。

ただし、ガヤルドを「ベイビー」と呼ぶには、いささかの抵抗を感じざるを得ない。ムルシエラゴと比較すれば、スモールであることは明らかだが、50バルブのV10ユニットは500hpを発揮し、ガヤルドを300km/hの最高速度まで難なく加速させる。フルタイム4WDメカニズムにより、トラクションも秀逸。「ベイビー」とは、あくまでもフラッグシップと比較して、と解釈すべきであり、ランボルギーニにかぎっては、12気筒未満のモデルはすべてこう呼ばれる運命にある、とも言えそうだ。いずれにしても、ガヤルドは魅力的なセカンドラインであり、姉にあたるムルシエラゴとともに、ランボルギーニ復興の象徴となり、現在に至るまでその成功の原動力となっている。

そして2011年2月28日、ランボルギーニはジュネーブ・モーター・ショーの前日のイベントでニュー・フラッグシップ、アヴェンタドールを発表した。

アヴェンタドールの登場は、世界のスーパー・スポーツカー・マーケットの頂点を再定義するというランボルギーニの新たなるステートメントでもある。軽量工学と最高レベルの剛性、安全性を組み合わせたカーボンファイバー製の革新的なモノコック。新しい12気筒エンジンは6.5リッターの排気量から515kW/700ps の最高出力を発生し、高回転域の卓越したフィールと驚愕のローエンド・トルクを提供する。 乾燥重量は1,575kgと、このカテゴリーのクルマとしてはきわめて軽量だ。パワーウエイトレシオは2.25kg/psで、0~100km/h加速はわずか2.9 秒、最高速度は350km/hに到達する。時代の要請に合わせて、CO2排出量は先代モデルから20%も削減されている。にもかかわらず、パワーは逆に8%向上しているのが驚異的である。

極限のデザインとパフォーマンスを実現し、デザインと技術面においては一切の妥協を排したそのスタイルと完成度はまぎれもなく40年以上に及ぶランボルギーニのDNAそのものではあるが、品質と信頼性に対する絶対の自信は、アウディの影響だろう。

ダイナミクスと技術的な優秀性を備えたアヴェンタドールのライバルたりえるクルマは、スーパー・スポーツカーの世界のどこにも存在しない。 そしてランボルギーニは、このアヴェンタドールによって未来への新たな一歩を踏み出し、過去の輝かしい栄光の上に新たな伝説を築いていくことだろう。

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